高リン血症の改善を目的とした新薬テナパノル塩酸塩について
高リン血症の改善を目的とした新薬テナパノル塩酸塩について
新薬テナパノル塩酸塩への期待
協和キリン株式会社は2022年10月に透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善を適応症とした製造販売承認申請を厚生労働省へ行いました。
テナパノル塩酸塩は新しい作用機序を持つ薬ですので、その効果が期待されます。
慢性腎臓病患者における高リン血症について
腎機能が低下することで本来体外へ排出する腎臓の機能がそこなわれていき、リンの蓄積が起こります。
高リン血症の症状は実感として表れにくいですが、長期的にみると体の中でリンとカルシウムが固まることで起こる異所性石灰化につながります。この異所性石灰化は心筋梗塞や脳梗塞を発症することがあるため、高リン血症は非常に怖い病態です。
従来の高リン血症改善薬
リン吸着薬
カルシウム含有
沈降炭酸カルシウム
カルシウム非含有
ポリマー系
ビキサロマー
セベラマー塩酸塩
金属系
クエン酸第二鉄
スクロオキシ水酸化鉄
炭酸ランタン
食事由来のリンを吸着することでリンの吸収を抑え、体外に排出する作用があります。
テナパノル塩酸塩について
従来の高リン血症改善薬と異なり、テナパノル塩酸塩は新しい機序で作用します。
テナパノル塩酸塩は腸管で局所的にナトリウムイオン/プロトン交換輸送体3(NHE3)を阻害し、リン吸収の主要経路である傍細胞経路(細胞間隙経路)からのリン吸収を抑制します。
従来の高リン血症改善薬で改善されなかった症例に対して使用できるなど高リン血症の治療にいい風が吹くといいですね。
参考URL:協和キリン、透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善を適応症としたテナパノル塩酸塩の国内製造販売承認を申請 - 日本経済新聞 (nikkei.com)